※本記事は長いので前編後編に分けました。前編からご覧ください。(就活生向けです)
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ある企業との出会い
ことごとくお祈りメールを食らった僕は心身ともに疲弊していました。就活ブルーです。僕は要領が良いタイプの人間ではないので、一度落ち込むとなかなか立ち直れずにいました。エントリーシートは通過します。一次面接もまぁまぁ好感触。しかしほとんどの企業が二次面接で落ちるのです。
二次面接では、基本的なコミュニケーションや自己理解を踏まえ、業界への興味や仕事への理解度が確認されるフェーズでもあります。この二次面接で落ちるということは、(1)業界・仕事への理解が浅い、(2)強みと仕事内容を絡めて説明できていない、(3)成長ポテンシャルが見込めない、という3点が主たる要因と考えられます。
説明会から参加し直すこともしばしばありました。
そんな時、ある企業の二次面接で、面接官のSさんにこんなことを言われます。
「君は営業の仕事に興味があるかい?」
営業という仕事に、興味はあるかい?
営業・・・。
当時の僕は営業職に良いイメージなど微塵にもありません。追われるノルマ、恐ろしい上司、迫り来る予算設定・・・。勝手なイメージでセールスという職種を決めつけていました。もしかすると、こんな喰わず嫌いの私は、「営業なんて嫌です」という表情だったのかもしれません。
当時の僕は衝撃が走りました。ほんの1〜2分話しただけなのに、まんまとカレーからカツ丼の気分に変わってしまった自分に驚きました。特別な話術があったわけでもなく、面接官Sさんは、間の取り方や表現の仕方が非常に上手かったことを覚えています。気づけば僕の意思決定もSさんにコントロールされていました。
これが、僕がこの企業での営業職を目指すきっかけです。
きっかけは単純明快で、面接官Sさんのようになりたい!というものでした。そこで、改めて自己分析と業界研究をし直し、いかにしてこの企業で自分らしく働けるかを徹底考察しました。この出来事から人材業界に興味を持ち、この企業を第一志望として考えるようになりました。
そこからの自己分析は、まさに全てをやり直すかのように、中途半端に残っていた教員への興味を全て捨て去り、人材業界の成り立ちや歴史、ビジネスモデルを徹底考察し選考に臨みました。また、面接で自分に欠けていると指摘されたポイントをいかに改善するか、また強みをどのように業務で発揮するのかを言語化し、日夜企業研究と自己分析に明け暮れました。最初からその努力しろよってなんども思いましたけどね
さらに時は流れ、就活解禁から約半年。内定はゼロ。
残す企業はその企業一社のみ。背水の陣でした。ですが、なんとなく受かるイメージはありました。特別な対策を行ったわけでもなく、面接練習をしまくったわけでもありません。ただ単純に、その企業に入社したら僕はこう働ける。そしてこんな価値を生み出せる、ということを説明できたからです。時間はかかりましたが、自分なりの活躍プロセスのロジックがようやく見えてきました。
バカ正直で不器用。それでも、泥臭く進む。これが僕の特徴だとその時に気付きました。以外にもそのスタイルが会社の雰囲気ともマッチしていたのかもしれません。結果、第一志望の企業から無事に内定を獲得。長い就職活動はようやく終焉を迎えました。
当時の採用活動解禁日から181日。エントリーした企業は約60社。ES提出は25社、面接受験社数は21社。内定1社。これが僕の就職活動体験です。
今、就活中の君に伝えたいこと
長くなりましたが、以上が僕が体験した就職活動のエピソードです。
就職活動には様々なストーリーがあります。時間がある時期にこそ、多くの先輩にアポを取り、体験談や失敗談を聞いてみてください。きっと、もっともっと刺激的なストーリーに出会えるかもしれません。
こんな経験をしたからこそ、みなさんに伝えたいこと
「どんな仕事か、の前に、どんな生き方がしたいかを考える」
仕事を見つけられない、何がしたいのかわからない。そう悩む就活生は少なくありません。当時の僕もその一人でした。教員という仕事にフォーカスしすぎるあまり、どんな生き方が自分にとってベストなのかを考えきれていなかったのです。
判断できない理由の一つは、知識(情報量=判断材料)不足。「知る」ことがなければ、「選ぶ」ことはできません。僕は自分が求める理想の生き方・働き方を実現するための判断材料が不足していました。だからこそ、なんとなくしたエントリーできなかったし、ESや面接にも力が入らず、他の企業との比較もまともにできなかった。面接官のSさんと出会い、自分の中での世界が壊れた時に初めて、「こんな生き方がしたい!」という漠然としたイメージが湧いてきました。この衝撃がなければ、今でも自分の進むべき道を見出せずに悩んでいるのかもしれません。
さて、これをご覧のあなたが、僕と同じごく普通の一般人、すなわち凡人であるならば。
「企業研究なんてしなくていい」
「自己分析なんて時間の無駄」
「説明会なんて行く必要ないよ」
こうした、”ごく一部の人ができるような方法”に惑わされないでください。近年の就職活動の方法や情報源は広く多様化していますが、原理原則は変わりません。自己理解と仕事理解なくして、理想の進路には辿り着けないのです。
不器用なら不器用なりに、自分の強みを生かして前に進むより他ありません。「●●なんてしなくて良いよ」というコメントは「すでに素地がある人の理論」に違いありません。何もベースも経験値もないただの凡人だとしたら、採用市場を生き抜くためのスキルを身につけるしかないのです。
何から始めるべきかわからない?でしたらまずは「知る」ことから始めましょう。新たな情報を吸収し、知見を増やすプロセスの中で、気づきや興味が芽生えることもあるかもしれません。近年のインターンシップ市場はこうした気づきを得やすく、なおかつプレ就活のように経験値を積むことができます。現3年生はぜひ積極的にインターンシップエントリーをしてみてはいかがでしょうか。
自分の興味のポイントを明らかにする
僕は偶然、Sさんという人事に出会い、営業という職種に出会いました。それまでは営業職なんて、キツイし苦しい仕事だとばかり思っていました。でも、やってみないと向いているかは判断できないですし、少しでも面白みを感じるのであれば、それはきっと「向いている」仕事なのかもしれません。
「自分は今、どんなことに興味があるだろう・・・?」
と考えると、言葉で説明するのが難しいですよね。だから言い換えて考えてみましょう。
「自分はどんな時に、わくわくを感じますか?」
わくわくしないで21年間生きてきた?まさかそんなことはないでしょう。まずは「気づく」ことです。自分のわくわくの源に。そして知ることです。わくわくを実現できる仕事はどんな仕事か。見つかったら興味を磨き、言語化しましょう。
わくわくという曖昧なワードで表現していますが、これは興味を持てることだったり、価値観に共感できることだったり、得意なこと。これをぜひ見つけてみてください。適職はふとした興味・価値観から見つかることもあります。
最後に 自分の世界だけに閉じこもらないでください
就職活動って、本当に特殊な時期ですよね。自分のことがわからなくなったり、友人関係にヒビが入ったり。あるいは複雑で混沌とした感情に悩まされる夜もあるかもしれません。
でも、それでいいんです。
「こんな自分なんて・・・」なんて、決して思わないでください。悩んでも、泣いても、ケンカしても、それでいいんです。それでいいから、自分の進むべき道を見出しましょう。たとえそれが、就職ではなくとも間違いではありません。人と違う道を選ぶことを恐れないでください。人と違う道を選ぶという選択は、大変な側面もありますが、進みがいのある道です。
僕も、これまでの生き方を振り返ると、レールを自ら開拓して今日まで生きてくることができています。その過程には悩みも不安も葛藤もありました。ですが、いつか必ず成長につながります。だからこそ、そんな時に手を差し伸べてくれる人がいたら、大切にしてくださいね。一社、また一社とお祈りメールが届く僕に、勇気付けてくれたり、励ましてくれたり、時にはガチで相談に乗ってくれたり、アホみたいな冗談で笑わせてくれた友人たち。僕は彼らを一生大事にしていきたいと今でも思っています。
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